※画像はイメージです。

指田初美さん(仮名)は大腿骨頸部（だいたいこつけいぶ）(脚の付け根)を骨折したことが原因で、自宅での生活が困難となり、当グループホームへ入居しました。入院した病院では「車椅子生活になるだろう」と言われていましたが、結果的に軽介助の歩行状態での入居となりました。

入居当初から夜間は寝付くまで落ち着かず、トイレに何度も行ったり、事業所内を歩き回ったり、強い口調になったりすることが多くありました。夜勤の職員は、夜間の状態に不安な気持ちもありましたが、薬に頼らずにケアで落ち着いてもらうと決め、指田さんの意に沿ったケアを提供していきました。指田さんは、自宅で畳の生活をしていたからか時々、ベッドではなく床で寝ようとすることもありました。職員間で話し合い、指田さんが床で寝ようとする時は、それを否定せず床で寝られるように環境を整えました。その時々の気持ちを聞き、状況に合わせたケアを行いました。

また、日中の活動を増やすため、２階のリビングから１階に必要なものを取りに行く時は指田さんを誘い、階段の昇降を運動として取り入れました。屋内の運動だけでなく、屋外で日光浴や散歩に出かける機会を増やしました。すると、少しずつ夜間歩き回ることや強い口調で話すことがなくなり、眠る時間が増えていきました。今では小走りができるほどに歩行が安定しました。

認知症になり、体内時計を調整する機能が低下すると、夜間の睡眠障害につながることがあります。日に当たって動く量を増やすことや、落ち着いて眠れる環境に整えることで体内時計が正しくなり、活動と休息のバランスが良い生活につながります。

「愛の家グループホーム岩国平田」（山口県）副ホーム長