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三輪カスミさん（仮名）は自宅で１人暮らしをしていました。２人の娘が用意した食事が残っているなど認知機能の低下が顕著に見られていました。散歩が好きで、一日に何度も外に出かけて戻れなくなるようになり、２人の娘は三輪さんにＧＰＳ（衛星利用測位システム）をつけました。仕事中も見守り、迷い始めるとその都度、職場から対応を続けました。しかし、離れて生活していたので、三輪さんが１人で生活を継続することは難しいと考え、当グループホームへ入居となりました。
入居後、三輪さんは強い口調「家に帰る」と言い、厳しい表情で事業所の中を歩き回っていました。職員が声をかけても、会話は続きませんでした。職員は三輪さんの「家に帰りたい」という当たり前の気持ちに寄り添いたいと考え、三輪さんが「家に行きたい」と話した時には「一緒に行かせてください」と伝え、一緒に外に出ました。外を歩いても厳しい表情が続くこともありました。そんな時は三輪さんに寄り添い、気持ちが落ち着くまで１時間以上歩きました。
長い散歩を繰り返すうちに、徐々に三輪さんと職員の会話が続くようになりました。今では強い口調や厳しい表情で事業所を歩き回ることもなく、穏やかに過ごすことができています。好きな散歩も継続しています。職員は三輪さんの様子をこまめに娘たちに伝えました。入居時には不安気だった娘たちも三輪さんの変化を大変喜び、面会に来る回数も増えています。
施設に入居すると、生活環境が変わったことでの混乱から不安が強くなり、言動が落ち着かなくなることがあります。今回は三輪さんの「家に帰りたい」という気持ちをくみ取り寄り添って一緒に行動することで信頼関係を築き、三輪さんの安心感につながったと考えられます。
「愛の家グループホーム江戸川鹿骨」（東京都）　ホーム長