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88歳の大倉みつさん（仮名）は１人暮らしをしていましたが、入浴をしないことが増え、食事も自分で作らなくなりました。
家族が、火の不始末などを心配し、当グループホームへの入居となりました。
入居後、人がいることに安心するのか、入浴もでき、掃除や洗濯などの家事も手伝ってくれました。
しかし、１カ月を経過しても毎日「帰りたい」と泣く時間がありました。
職員に「なぜここにいないといけないのか」「一人で生活できるのになんで？」と訴えていました。
職員は訴えるたびに話を聞き、事業所での生活をどう支援していけばよいか検討しました。
入居後１カ月の様子から、調理を手伝う時は落ち着いて過ごしていたため、切る、炊く、焼く、味付けをするなど、調理全般を職員と毎日行いました。
自宅では調理はせずに過ごしていましたが、職員と調理をする時には手際よく、分からない時は他の利用者の動きを見て作業していました。
職員と食材の買い出しに出かけ、役割を持ち、活動することで事業所での生活リズムが整いました。
泣いて過ごしていた時間が次第に少なくなり、家族は様子が変化したことに「ここにいなかったらどんなことになっていたか」と喜び、今も信頼を寄せてくれています。
入居から４年が経過しましたが、入居時と同じ心身の状態で生活しています。
年齢を重ねて少し疲れることもありますが元気です。
認知症の方は、これまで行ってきたことができなくなることで、生活に影響が出てくることがあります。
介護職は、日々の関わりを通して利用者の得意なこと、わずかな手助けで行えることを見つけ、できることを引き出していきます。
また、その人のできることをチームで支援することで利用者の生活も良い方向に変化します。
「愛の家グループホーム一志」（三重県）ホーム長