※画像はイメージです。

渡辺幸江さん（仮名）は、娘の真由さん（仮名）、孫と暮らしていました。渡辺さんが転倒しそうになって真由さんは支えようとすると、渡辺さんは行動を止められたと思い興奮して怒りました。気に入らないことがあると口調が強くなり、手が出るようになり、真由さんは渡辺さんに関わることが怖くなりました。自宅での介護に限界を感じ、当グループホームへ入居しました。

入居当初、真由さんは面会に来る気持ちになれず、事業所から足が遠のきました。渡辺さんの状態が落ちつくことで、徐々に親子の関係性を取り戻せるようにと関わりました。入居前の情報や日々の関わりの中で、理由が分からず行動を止められた時に突然、混乱し興奮することが分かりました。一つ一つの行動に納得しないとケアを受け入れてくれず、職員は水分や薬を勧める時も、なぜそれが必要なのか理由を丁寧に説明しました。渡辺さんは理由に納得すると職員の支援を受け入れて行動に移してくれるようになりました。

入居から３カ月ほどで、渡辺さんは表情も気持ちも穏やかになったので、真由さんにその様子を写真入りの手紙で伝えました。入居から半年後、真由さんは事業所の窓の外から渡辺さんの様子を見ることから始まり、その後に直接面会することができました。入居から５年近くたち、渡辺さんは来年１００歳を迎えます。現在も渡辺さんは穏やかな様子で過ごし、真由さんは月に数回、面会に来てくれます。

認知症の人は自分の置かれた状況や他者の行動の目的について正しく認識・理解できず、不安を感じ混乱することがあります。周囲の人が状況や行動の目的などを分かりやすく伝えることで、不安を軽減し安心することができます。

「愛の家グループホーム神保原」（埼玉県）ホーム長