※画像はイメージです

89歳の田中初江さん（仮名）は長女と２人で暮らしていました。
認知機能の低下がみられ、長女が仕事で不在の時間は特に不安が強くなり、混乱状態になることが多くなりました。
自宅での生活が困難となり、当グループホームに入居しました。
入居当初は表情が乏しく、環境の変化からか、ひどく混乱した様子が見られました。
時に事業所内の他の利用者の部屋の扉を開けて回るなどの行動が見られることもありました。
田中さん自身のつらく不安な状態を改善し「ここにいてよかった」と思えるよう支援していきたいと思いました。
できることを生かし、やりたいことをしながら生活することで、田中さんの笑顔を取り戻せるのではないかと考えました。
食器洗いや洗濯物干しなどの日々の家事活動を職員と共に行い、その場面で他の利用者とも関わりを持てるようにしました。
少しずつ会話も増え、職員や他の利用者と関係性を築くことができるようになっていきました。
それをきっかけに他の活動にも参加するようになりました。
「次は何やったらいい？」と自らの役割のように家事を行っています。
周囲への気遣いもあり、他の利用者が混乱している様子があると、その方のそばに行き、話し相手になるなど、自ら他の人への働きかけをしています。
また近隣の夏祭りに参加した際には、地域の方に交じって盆踊りを楽しんでいました。
田中さんは他者とのつながりの中で、自分らしさを取り戻すことができました。
他者とつながりたい、他者へ貢献したいという思いは、誰しもが持っています。
認知機能の低下や心身の状態により、それを発揮する機会が奪われてしまうことがあります。
田中さんは必要な支援を受けることで、その機会をもう一度取り戻すことができました。
「愛の家グループホーム川口仲町」（埼玉県）　ホーム長