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太田英子さん（仮名）は１人暮らしでしたが、自宅の片付けが難しくなり、長男の均さん（仮名）に自宅に来てもらい支援を受けていました。その後、内服薬を飲み間違えたり、服用を忘れてしまうなど、日常的なサポートが必要となり、当グループホームに入居しました。
入居当初、太田さんはリビングの隅にあるソファに座り、表情が乏しい様子でした。以前の太田さんの生活を均さんに聞くと、定年まで病院で洋裁の仕事をしており、それが生きがいだったと教えてくれました。「もう一度生きがいを取り戻してほしい」という均さんの願いをかなえられるようケアに当たりました。まずは安心できる場所だと思ってもらえるよう、共通の話題から他の利用者との関係性が築けるようにサポートしました。
また、仕事でもみんなから頼りにされていた太田さんは「誰かのために何かしてあげたい」という思いがあるのではないかと考え、太田さんの持つ強みを発揮できるよう、得意の裁縫で雑巾を仕立ててもらいました。料理やおやつ作りなどにも誘いました。ケーキを作った際には、他の利用者や職員から喜んでもらえ、太田さんもうれしかったようです。そういった生活を積み重ねることで、太田さんは生き生きとして、周囲の利用者や職員に思いやりや気遣いを持って接し、生活しています。太田さんは「私がおらな、ここは回らへん！」と笑いながら話しています。
定年退職や健康状態などにより、今までしてきた社会的な役割を喪失する場合があります。新しい役割を見つけることでやりがいや意義を持ったり、新たな人間関係を深めて自分の居場所を感じたりすることができます。
「愛の家グループホーム大阪城東中央」（大阪府）　副ホーム長