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黒須聖人さんは祖母に介護が必要になり、10年間勤めて管理職も経験した土木関係の仕事を辞め、自宅に近い当グループホームに入職しました。

黒須さんに入職前に認知症グループホームの印象を聞くと「暴れたりする人や物忘れが激しい人が多く、大変そう」と答えました。しかし実際に働き始めると、穏やかに自立した生活を送っている利用者が多いことに驚き、印象が変わったと言っていました。黒須さんは管理職の経験によって養われたコミュニケーション能力を生かして、利用者と積極的に話そうと努めていました。しかし、ある利用者に入浴を断られたり、混乱で興奮している別の利用者の近くで声をかけるとより混乱されたりと、うまくいかないことが続きました。

それでも自分ができることをしようと、入浴を断られる利用者には関係性を築くために関わる頻度を増やす、混乱の様子が見られる利用者には混乱させないように適度な距離で待つことを実践しました。その関わりを続ける中で、入浴を断っていた利用者は気持ちよく入浴に向かうようになりました。また、声かけでより混乱していた利用者は落ち着くようになりました。

入職して３カ月たった時に改めて黒須さんに介護の仕事について聞くと「とても面白い、十人十色で同じことがない！」と楽しそうに答えてくれました。現在、黒須さんは前職の経験を生かし、利用者のために大工仕事を行うなど、事業所の中心となって働いています。

介護現場では関わる利用者の価値観や考え方に、それぞれが抱える認知機能障害や日々の体調変化が加わることで、適切な関わり方が常に変化します。日々、考えることが多く、さまざまな経験ができること、それが介護という仕事のやりがいなのではないでしょうか。

「愛の家グループホーム石巻蛇田」（宮城県）ホーム長