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玉野フミさん（仮名）は、通所の介護サービスを使いながら長男と２人暮らしをしていました。しかし介護サービス利用中に「家に帰りたい」という訴えが多くなり、長男が対応することも増えていきました。このままでは自宅での生活が難しくなるため、当グループホームに入居することになりました。
入居後も「家に帰りたい」という訴えは続き、職員との会話や食事に集中することさえ難しいような状態でした。
しかし、職員はその言葉を否定せずに聞くことに徹し、一緒に外に歩くことにしました。数日、そのように過ごし、担当した職員は玉野さんと話した内容や様子を全職員で共有し、今後の関わりについて整理しました。玉野さんは大切な長男のために夕ご飯を作りたいから帰りたいと話していました。また、散歩をしながら話を聞いた後は穏やかな表情になり、会話や食事に集中できることも分かりました。他にも地域の人や他の利用者家族が訪問するなど、普段と違うことがあると興奮するようでした。
これらを整理して、本人の帰りたい思いに寄り添い、一緒に歩くことを含めてできる限り毎日、同じように過ごせるように関わりました。少しずつ玉野さんは落ち着いて過ごすようになり、今でも「家に帰りたいなあ」と話すこともありますが、入居直後とは違い、穏やかな表情で過ごすことができています。
認知症の人は環境の変化により脳が混乱した状態となりやすく、その状態で声を掛けたりするとより興奮する場合が多いです。今回のように本人の興奮が収まるのを待ち、話を聞くことで落ち着くこともあります。また大きな環境の変化が起きないように、できる限り同じように過ごせるよう生活を工夫することも必要です。
「愛の家グループホーム仙台実沢」（宮城県）ホーム長