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谷浩平さん（仮名）は、自立して日常生活できる人の多い介護施設で生活していましたが、体調を崩して徐々に体重が減り、あまり動かなくました。元々、適切な発音ができない状態（構音障害）があってうまく話せないため口数は少なかったのですが、発語がさらに減りました。谷さんの変化を心配した妻の芳子さん（仮名）は長男と相談し、当事業所への転居が決まりました。

谷さんの転居前に事業所を訪れた芳子さんは、不安な様子でした。職員は、谷さんに元気になってもらうため、栄養が取れるよう食事のケアを実施していきました。水分と栄養を同時に取れるスープを用意したり、自分のペースで食事ができるように近くで見守り、口が動きにくくても焦らないように丁寧な声掛けをしました。話しかける頻度も増やしました。散歩に誘い、時間をかけてじっくり話を聞くなどの対応もしました。

次第に体調が良くなり、体重も増えました。顔色も良く、自分から言葉を発するようになりました。芳子さんにはこまめに谷さんの様子を伝え、面会時に夫婦でゆっくり話せるよう部屋を整えました。谷さんの変化に、芳子さんも大変喜んでいます。

高齢者は病気などの要因で、口や喉の器官が動きにくくなり発声や発音がうまくできなくなることがあります。発した言葉が相手に伝わりにくかったり、相手も聞き取りにくいことで誤解が生じることもあります。また、口がうまく動かないことで食べる、飲むという行為が難しくなり、体力が落ち、気分も落ち込みやすくなります。介護者は本人が話をしやすい環境をつくり、コミュニケーションを重ねて信頼関係を築くことが大切です。

「愛の家グループホーム大宮櫛引」（埼玉県）　ホーム長