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横井巧さん（仮名）は、当グループホームに入居していた妻・文代さん（仮名）と面会するため、近所の自宅から飼っている柴犬を連れて毎日、事業所に来ていました。しかし、文代さんが亡くなったことで、事業所と横井さんの交流は途絶えていました。ある日、横井さんが突然、「ここで飯を食わせてくれるか」と事業所を訪れたことをきっかけに、通いと泊まりの可能な併設する事業所の利用が始まりました。その中で、自宅ではあまり食事や水分を取らず、生活リズムが崩れていることが分かり、本人の希望もあって当グループホームに入居となりました。
入居してから横井さんは自室で寝ていることが多く、足元がおぼつかない様子で、職員は「このままでは体が弱り、したいことができなくなってしまう」と心配しました。横井さんは寝ることが好きなため、自然な流れで活動機会が増える方法を中心にケア内容を検討しました。横井さんに「したいこと」「したくないこと」を選んでもらい「したい」と言ったことを行うようにしました。それをノートで共有しながら、したくないことは提案しないように職員間で統一して関わりました。そうした中で「したい」ことに誘うとリビングに出る機会が増え、歩く機会も増えました。気付くと進んで歩く練習をするなど、活動が自然と増えていきました。
したくないことや難易度の高いことを続けていると、「したくない」という気持ちが強くなり、かえって状態が悪化することがあります。今回のように本人に無理のないことを続け、「したい」と思うことを優先的に取り組むことが活動機会の増加には必要です。
「愛の家グループホーム大阪都島中通」（大阪府）　スタッフ