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１人暮らしの板倉和代さん（仮名）は、ささいなことに不安を感じるようになり、長女は板倉さんが安心できるよう電話を毎朝かけるようにしました。
しかし長女の仕事中にも１日50回ほど電話をかけてくるようになりました。
ある日、朝の電話がつながらず長女が板倉さん宅を訪問すると、板倉さんは電話の前で倒れており、入院となりました。
１人暮らしを心配した長女が当グループホームに相談に来て、入居となりました。
板倉さんは自宅で食事を取ったり、取らなかったりで、入居時の体重はわずか35キロでした。
そこで、やりたいことができる体、安心できる環境をつくりたいと考えました。
板倉さんが３食しっかりと取り、かつ補食を取れるようにすると顔色は良くなり、体重は45キロまで増えました。また。
職員は板倉さんが不安にならないように声掛けをし、１人になる時間を減らすようにしました。
すると事業所のレクリエーションや散歩なども積極的に参加するようになり、職員・他の利用者との関わる時間も増えていきました。
「喫茶店に行きたい」と喫茶店に行ったり「時間あるから会いに来て」と友人に電話をしたりと、自分のやりたいことを行うようになっていきました。
長女にする電話も「ごはんがおいしかった」「バナナが食べたいから買ってきて」などとポジティブな内容になり、長女は「前は電話がかかってくるのがつらかったけど、今はかかってくるのが楽しみ」と喜んでいます。
認知症になると自分でしたことを忘れてしまったり、いつもできていたことができなくなったりすることで強い不安を感じ、身近な人に助けを求めるようになることがあります。
いつも声を掛けられる状態をつくることで安心し、自分の思いを伝えられるようになります。
「愛の家グループホーム尼崎武庫之荘」（兵庫県） 副ホーム長