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辻サト子さん（仮名）は親戚の手助けを受けながら１人暮らしをしていました。物忘れが増え、部屋にこもりがちになり、食事も不規則になってきたため、甥が心配し、当グループホームへ入居となりました。
入居後、辻さんは事業所になじんで穏やかに生活していましたが２年後、強い腰痛を訴えると、「骨粗しょう症による腰椎骨折」で入院となりました。入院中は治療や痛みのためにあまり動けず、食事を取らなくなり、口数も減りました。おいは「退院後は慣れ親しんだ事業所で過ごしてほしい」と思っていました。そこで、病院の医療職とおいが話し合い、事業所での生活を再開することになりました。
職員は「辻さんの元気な姿を取り戻したい」と強く思いました。まずは食事のケアを医療職と相談し、高栄養のゼリーを取ってもらうことから始めました。徐々に通常の食事に近づけるため、食べやすいよう形状を工夫しました。辻さんが好きなようかんを提供したり、「これ、とってもおいしいですよ」と声を掛けるなど、明るい雰囲気づくりに努めました。同時に、日常生活の中で辻さんが自力で動くことができるよう、職員の間で介助の方法を統一して行いました。
すると、辻さんの表情が良くなり、食事の量も増えていきました。痛みが落ち着いてくると自分でできる動作も増えていきました。今では笑顔で職員や他の利用者と会話し、自分で車椅子を操作してフロアを行き来できるようになりました。
高齢者の食事は、栄養を摂取し体力を維持するためだけでなく、意欲や活力を生み出すためにも必要です。そのため介護者には、利用者が食事に興味を持ち「食べたい」という気持ちを引き出していく関わり、関係性をつくることも大事になります。
「愛の家グループホーム明石大久保町茜」（兵庫県）　ホーム長