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石井昭代さん（仮名）は１人暮らしをしていましたが、薬の管理ができず、１日の薬を飲み過ぎてしまうことがありました。その様子を心配した妹の良枝さん（仮名）が自宅を訪問して支援していましたが、役所から自宅での１人暮らしの継続は危険と判断され、緊急で入院し、そのまま、当グループホームに入居しました。

当初は入居することに納得できず「誰がここにいさせることを決めたの？」と不満を妹にぶつけており、関係性も悪化していました。職員に対しても「あなたたちと仲良くするつもりはありません」と言い切っていました。本人の様子を見ながら、声を掛け、少しずつ関係性を築いていきました。石井さんの話をよく聴くと「今まで通り自宅での生活を続けたい」という気持ちがある一方で、１人での生活に強い不安を抱えていることが分かりました。

そこで、本人の気持ちを尊重した上で、事業所での生活を快適だと思ってもらえるように支援しました。石井さんは日常の一つ一つのことを何度も確認していました。職員は何度でも根気よく話を聴き、不安を安心に変えられるような関わりを続けました。このような関わりを通して、石井さんは次第に穏やかな表情を見せるようになりました。今では「家はあるけど、ここにいるわ。ここがとてもいい所だから」と話しています。良枝さんに対する不満を話すこともなくなり、面会に来た時には仲むつましい様子でおしゃべりをするなど、仲の良い姉妹としての関係性を取り戻すことができました。

認知機能が低下すると、今の自分が置かれた状態について認識・理解することが難しくなります。「ここにいていいの？」「何をしたらいいのか」など今まで当たり前にしていたようなことでも、不安を感じてしまいます。その不安は一つ一つの関わりで、安心に変えることができます。

「愛の家グループホーム帯広西11条」（北海道）　ホーム長