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横田貢さん（仮名）とユリさん（仮名）夫妻は、日常生活を自立して過ごせる方が多い介護施設の同部屋で生活していました。次第に貢さんは夜眠れずに動き続けたり、トイレが間に合わず服を汚すことが増え、ユリさんの介護負担が大きくなりました。長女がユリさんの疲弊を心配し、貢さんだけ当グループホームに転居しました。

入居前、貢さんはユリさんと常に一緒に行動し、姿が見えないと探し回ることがありました。しかし、当事業所は認知症の診断を受け、かつ介護が必要な方しか入居できないため、日常生活が自立しているユリさんが入居することはできません。そこで、長女は貢さんが事業所での生活に慣れるためにユリさんの面会を控えることにしました。職員は「ユリさんが傍らにいなくても安心して生活してほしい」と思い、趣味である囲碁や散歩の時間を増やしたり、積極的に他の利用者との交流を働きかけたりと、丁寧に対応しました。貢さんは入居当初は「妻はどこに行った？」とユリさんを探すこともありましたが、徐々に減りました。また、貢さんの様子をこまめに長女に連絡し、いつでもユリさんと面会できるよう準備していました。

１カ月後、ユリさんが「貢さんに会いたい」と事業所を訪れました。突然のことに職員は驚きましたが、貢さんは落ち着いてユリさんに接し、穏やかに過ごすことができました。それ以降、ユリさんは折に触れて事業所を訪れるようになりました。今では、面会だけでなく事業所のイベントにも夫婦で参加しています。

介護施設に入居し、家族が離れて生活することは、お互いの様子が見えないことで不安になります。介護職は、双方が安心して暮らせるよう、利用者に対するケアだけでなく、家族の思いにも寄り添った細やかな対応をしていくことが必要です。

「愛の家グループホーム廿日市地御前」（広島県）ホーム長