※画像はイメージです。

中野孝雄さん（仮名）は84歳になっても、朝４時から魚の卸売市場で働いていました。気に入らないことがあると怒ることが徐々に増えていき、一緒に住む長女や孫と生活することが難しくなり、当グループホームに入居しました。

入居当初は「魚の卸売（おろしうり）市場に行かせろ！」「家に電話をさせろ！」など、思い通りにならないことがあると腹を立てていました。夕方になると「帰りたい」という訴えも加わり、夜は眠らずに起きていることも多く、職員は対応に困っていました。落ち着いている日や時間がないかを職員で話し合いました。入浴した日は穏やかで、夜も眠れていることが多く、帰りたいとの訴えが少ないことが分かりました。入浴すると落ち着くことが分かったので、その後も毎日入浴できる態勢をつくりました。その頃からよく眠れるようになり、少しずつ落ち着くようになっていきました。中野さんが声を荒らげることが少なくなったため、家族は安心して面会に来てくれるようになり、また家族の面会を中野さんも楽しみにしています。

中野さんのように興奮状態が強くなる方がいます。自律神経（じりつしんけい）が乱れ、交感神経優位（こうかんしんけいゆうい）な状態になると興奮してイライラしたり、体のこわばりが強くなったりすることがあります。中野さんは毎日入浴することで、心地良く過ごすことができるようになり、精神的に落ち着くようになりました。入浴は体の清潔を保つだけでなく、自律神経にも働きかけます。適温のお湯に浸かることで、自律神経が整い、副交感神経優位の状態になり、心身のリラックス、睡眠改善につながりました。本来の中野さんの穏やかな状態を取り戻すことができ、家族との関係も改善しました。

「愛の家グループホーム福島渡利」（福島県）　ホーム長