※画像はイメージです。

藤田君代さん（仮名）は、長女の芳江さん（仮名）に介護されていました。藤田さんは心疾患などの持病があり薬に頼る気持ちが強く、夜でも「病院に行きたい。薬が欲しい」と訴えるようになりました。芳江さんは徐々に疲弊（ひへい）して気分が落ち込み体調を崩しました。介護保険を申請して介護サービスも利用しましたが「母ととにかく離れたい」「顔も見られない」と話すほど関係が悪化し、藤田さんは当グループホームに入居しました。

芳江さんは「うちの母はとにかく大変。家でたくさん薬を飲んでいた。何かあれば薬を飲ませてください」と、藤田さんのネガティブな話ばかりをしました。しかし、藤田さんは入居すると自分でできることが多く、わずかな介入で落ち着いて生活できました。きちょうめんな性格で、食事の盛り付けは人数分きれいに取り分け、掃除は丁寧にしてくれるため、職員は習慣的に取り組める家事活動をお願いしました。薬を欲しがる時は職員が話を聞くことで安心して過ごせるようになりました。

芳江さんは距離をおき、面会に来ませんでしたが、定期的に藤田さんの様子を伝えると「昔の母もそうでした。色んなことをしてくれた」と思い出していました。入居から３カ月が過ぎて「様子が落ちついているなら」と事業所に来てくれました。藤田さんが「いろいろ迷惑をかけたね」「身体に気を付けて」と話すと、涙を流していました。そこから週１回の面会が続いています。互いに体調も良くなり、良い親子関係となっています。

昔を知っていることで「できないこと」に目が向いてしまうことがあります。得意なことに目を向け、介護職が介入し、昔できていたことを再び行えるようになり、在りし日の姿が見えるようになって家族の気持ちも変化していきました。

「愛の家グループホーム八千代高津」（千葉県）　ホーム長