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志垣やい子さん（仮名）は、２階に長男夫婦が暮らす住宅の１階で夫と生活していました。志垣さんは、面倒をみてもらっていた夫が亡くなった後、転倒して大腿骨頸部（だいたいぶけいぶ）骨折で入院しました。介護に関して家族への期待が高過ぎたこともあり、嫁とはぎくしゃくしていました。そのため退院後、自宅近くの当グループホームに入居が決まりました。

長男夫婦が愛犬を連れて志垣さんの面会に来ると、愛犬にはうれしそうに声を掛けるものの、嫁の声掛けには応えないことがありました。しかし、長男夫婦は面会によく訪れ、志垣さんの好きなケーキなどを持ってきてくれました。そんな長男夫婦の思いを感じ、面会時に楽しい時間を過ごしてもらいたいと考えました。

志垣さんが事業所での生活に満足できるよう、趣味活動を生活の中に取り入れるようにしました。手先が器用なので貼り絵のための「紙こより」作りや、大人の塗り絵を勧めると、穏やかに過ごす時間が増えていきました。家族には面会時、日々の様子を報告し、変化があるときは連絡を入れました。家族は志垣さんの状態や気持ちの変化を把握できるようになり、嫁だけでも面会に来てくれるようになりました。志垣さんは96歳の今でもケーキなどの差し入れを楽しみにし、食事の意欲もあります。嫁にも笑顔で話すようになり、家族の来訪を楽しみにしています。

できなくなることが増えると体の状態と折り合いがつけられず精神的に不安定になることがあります。それを家族にぶつけ、関係が崩れることもあります。志垣さんは事業所での生活に慣れることで精神的に安定し、家族と楽しい時間を過ごせるようになりました。

「愛の家グループホーム船橋二子」（千葉県）スタッフ