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堀清子さん（仮名）は認知症を発症した後も自宅で長女と暮らしていました。
長女は堀さんの状態を少しでも和らげたいとの思いから、通いの介護サービスを利用し、人と交流してほしいと考えました。
しかし、堀さんは自分の気持ちをうまく言葉にできず、希望が伝わらないと思い、それを拒否しました。
長女の負担感が増え、一緒に生活することが難しくなり、当グループホームに入居することになりました。
入居後、堀さんは表情が厳しく、職員や他の利用者の言動に乱暴な言葉や大声で応じることがあり、いつもイライラしていました。
職員は堀さんの表情や発言から「不安や不満があるが、うまく言えないのではないか」と考え、堀さんが話をしやすいように、じっくりと聞き丁寧な対応を心がけました。
ある時、職員との話の中で、堀さんが自宅近くの食堂でよく食べた「エビフライの定食をまた食べたい」と言いました。
職員は、堀さんと相談しながら予定を立てて一緒に食べに行きました。
それから徐々に、堀さんから「行きたいお店がある」などの希望が聞かれるようになり、外出の機会が増えました。
すると、堀さんの表情や言動が穏やかになり、職員だけでなく仲の良い利用者ができ、若い頃の話をしながら大きく笑ったり、優しい言葉をかけたりするようになりました。
認知症の方は自分の気持ちをうまく言葉にできなかったり、希望が伝わらなかった経験を重ねると自分から言い出しにくくなることがあります。
記憶障害で行動や会話は忘れても、その時の感情は残ります。
今回は職員が堀さんの希望をくみ取り、実現に向けて行動することで信頼関係を築き、安心して過ごせるようになったことが変化につながりました。
「愛の家グループホーム岡崎本宿」（愛知県）　ホーム長